営業AI自由研究
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【調べてみた】営業AI「導入したのに使われない」問題 — 62ソースから見えた失敗の構造と、効いている人の条件

営業AI 導入失敗 調査レポート 生成AI

個人の自由研究として、営業チームにおけるAIツールの「導入したのに結局使われていない」問題について調べてみました。 英語圏・日本語圏の調査レポート、実務家ブログ、現場の体験談から計62件のソースを収集し、何が起きているのかを整理しています。

「営業AI、約7割が成果を実感」(BOXIL営業調査 n=389)というデータがある一方で、「生成AIパイロットの95%がROIゼロ」(MIT NANDA)という数字もある。この矛盾の中身を覗いてみたら、「使われない」には構造的な理由があることが見えてきました。

この記事でやったこと

  • 調査対象: 営業チームにおけるAI導入後の「定着しない」「使われない」問題の実態
  • 参照した情報: 英語圏の調査レポート(MIT, McKinsey, Highspot, HubSpot, LinkedIn, ZoomInfo等)、実務家ブログ(SaaStr, bizreboot等)、メディア分析(Fortune, Inc., 日経クロストレンド, 東洋経済等)、日本語の調査データ(BOXIL, パーソルビジネスディベロップメント, セレブリックス等)、ユーザーレビュー分析(G2経由)
  • ソース総数: 62件(英語36件、日本語26件)
  • 調査日: 2026-02-22
  • 補足: 調査レポートの多くがベンダー発行(HubSpot, Salesforce, ZoomInfo等)であることに留意。複数ソースの裏取りを意識して整理している

まず: なぜ「導入したのに使われない」が起きるのか

典型的なパターン

調べていくと、「使われない」に至るプロセスには共通する流れがあった。

  1. AI営業ツールのデモを見る → すごい、これで効率化だ
  2. 導入を決める → チームに展開する
  3. 最初の数週間は試す人がいる
  4. 「プロンプト作るのに時間がかかる」「結局自分で直す」という声が出始める
  5. 忙しい日にはツールを開かなくなる
  6. 誰も出力内容をチェックしない → 品質が担保されない
  7. 「あれ、使ってる?」「…たまに」

B2B SaaS業界で15年以上の経験を持つ投資家・起業家のJason Lemkin(SaaStr創業者)は、投資先企業での観察から「大半のチームは調整を3回やっただけで諦める」と指摘している。実際には200回以上の調整と6週間の毎日訓練を経て、やっと人間のSDR(新規見込み客の開拓担当)レベルに到達したケースがあるという。

この問題は新しいのか?

興味深いことに、25年以上の営業コンサルティング経験を持つ横山信弘氏(Yahoo!ニュース Expert)はこう述べている。

「25年間SFA/CRMの設計開発・導入支援をしてきたが、ツールを使いこなして営業生産性を飛躍的に向上させた会社はごく少数」「どんなに便利なツールを導入しても、使う人間が変わらなければ成果は出ない。これが現実」

つまり「導入したのに使われない」は、AI固有の問題というよりも、営業チームが新しいツールになじめない問題の繰り返しなのかもしれない。AIの登場で期待の大きさとスピードが増しただけで、根っこは25年前から変わっていない可能性がある。

「使われない」に至る流れ

62ソースを読んでいくと、「使われない」に至るまでの流れが見えてきた:

過剰な期待(「魔法の杖」)

不十分な訓練(SaaStr: 200回以上必要なのに3回で諦める)

出力チェック不在(SaaStr: 3週間放置でブロックチェーン戦略メール事故)

現場の行動変容なし(横山: 25年間同じ問題の繰り返し)

使われない / 仕事がむしろ増える(日経クロストレンド: 現場の3つの声)

個人の営業力が静かに劣化(bizreboot: 考えなくなる、画面だけ見る)

信頼事故(東洋経済: 顧客情報AI入力→商談崩壊)

この流れが一度回り始めると、各段階で「やっぱりAIは使えない」という思いが強まる。そして次のツールが導入されたときも、同じことが繰り返される。


失敗構造マップ(早見表)

「使われない」問題を3つの層に分けて整理した。

何が起きているか代表的なデータ主なソース
A. マクロ層(産業全体)生成AIプロジェクトの大半がROIに到達しない95%がROIゼロ(MIT)、2/3がパイロット段階(McKinsey)MIT NANDA, McKinsey, Gartner
B. 営業特化層AI投資しても営業成績が改善しない28%のみが改善実感(Highspot)、訓練に200回以上必要Highspot, SaaStr, Hyperbound
C. 現場層(個人体験)営業担当の行動・判断に悪影響が出る考えなくなる、仕事が増える、信頼事故bizreboot, 東洋経済, 日経クロストレンド

A. マクロの失敗構造(産業全体で何が起きているか)

まず全体像から。生成AI導入は営業に限らず、産業全体で高い失敗率が報告されている。

A1. 「生成AIパイロットの95%がROIゼロ」(MIT NANDA)

MITのNANDA研究所が300以上の生成AIプロジェクトを分析した結果、はっきりと収益につながったのは約5%のみだった。この報告はFortune誌でも取り上げられ、大きな反響を呼んだ。

注目すべきは、生成AI予算の半分以上が営業・マーケティングに充てられていたにもかかわらず、MITが発見した最大のROIはバックオフィス自動化だったという点。営業部門は「最もお金をかけているのに、最もリターンが出にくい」領域なのかもしれない。

もう1つの重要なデータ: ベンダーから購入したAIツールの成功率は67%だったのに対し、社内開発はその1/3にとどまった。「自分たちで作る」よりも「実績あるツールを買う」方が成功率が高いという結果が出ている。

A2. 「88%がAIを使っているが、2/3がパイロット段階」(McKinsey)

McKinseyの2025年State of AI調査によれば、88%の組織が何らかのAI利用を報告している。しかし、そのうち2/3はパイロット段階から本番運用に移行できていない。EBIT(税引前利益)への貢献を報告できているのはわずか5.5%。

「使っている」と「成果が出ている」の間には大きな溝がある。

A3. 「30%の生成AIプロジェクトがPoC後に中止」(Gartner)

Gartnerは2025年末までに、生成AIプロジェクトの30%がPoC(概念実証)後に中止されると予測している。理由として挙げられているのは、データ品質の問題、不明確なビジネス価値、不十分なリスク管理。

ただし: この数字には重要な反論がある

Fortune誌のパネルディスカッションで、AI企業SolaのCEO Jessica Wuはこう指摘した。

「AI以前のIT導入も成功率は10%程度だった。AIだけが特別に失敗しているわけではない」

Microsoftの最高人事責任者Amy Colemanも「失敗を許容し、混沌を受け入れる文化が必要。これは変革の入口」と述べている。

つまり、95%という数字が際立って見えるのは、生成AIブームで前例のない数の実験が同時に行われているから、という面もある。分母が大きければ、成功率は低く見える。「95%失敗」を語るときには、この視点も一緒に紹介すべきだと思った。


B. 営業特化の失敗構造

マクロの数字を営業チームに絞ると、さらに具体的な構造が見えてくる。

B1. 「AI投資しても28%しか改善を実感していない」(Highspot)

Highspotが463名の営業・マーケティング部門のリーダーを対象に実施した調査では、77%がAIに投資中であるにもかかわらず、パフォーマンス改善を実感しているのは28%のみだった。

Highspotはこの現象を”AI Leapers”(AIに飛びついた人たち)と名付けている。ツール導入と成果の間にあるギャップが埋まっていない状態だ。

同調査のさらに深刻なデータ:

  • 96%のリーダーが優先事項の変動と案件停滞によるストレスを報告
  • **80%**がバーンアウト・ストレス・離職を報告
  • 1/4未満がイネーブルメント(営業支援の仕組み)に投資

AI導入が営業チームのストレスを「減らす」のではなく「増やしている」かもしれない。調べた範囲で最も気になるデータだった。

B2. 訓練が圧倒的に足りない

SaaStrのJason Lemkinが挙げた「AI営業ツールが効かない3大理由」は、ベンダーではなく投資家・実務家視点からの分析として価値がある。

理由1: 訓練不足

  • 投資先企業での実例: 6週間の毎日訓練、200回以上の調整を経て、やっと人間の新規開拓担当レベル
  • 「大半のチームは調整3回で諦める」
  • AI SDR(AI新規開拓ツール)は「30分セットアップで週50件のミーティング」ではない。新人の営業担当と同じ訓練が必要

理由2: 出力をチェックしていない

  • 営業責任者(VP of Sales)が3週間AI出力を確認せず放置
  • AIが会計ソフト企業なのに「ブロックチェーン戦略」のメールを顧客に送っていた事故
  • 「少なくとも最初の90日間は毎日、出力内容をチェックする」必要がある

理由3: 魔法の杖を期待

  • AIツールのデモを見て「開拓担当の半分をクビにしてAIに置き換え」と考える
  • 結果: 残った人間は過負荷、AIは訓練不足、全体の成果が下がる

B3. ツールの設計が現場向きではない

1up.aiの分析によれば、多くのAI営業ツールは経営者やマネージャー向けに設計されており、実際に使う現場の営業担当には使いにくい、という問題がある。

Highspot CEOも「AIが別タブなら使われない」と指摘している。ワークフローの中に埋め込まれていないツールは、どんなに高性能でも定着しない。

B4. 1,300以上のツールが乱立している

Hyperbound社の調査によれば、AI営業ツールは市場に1,300以上が存在する。多くは機能が重複しており、選択疲れが発生している。「ツールの問題ではなくプロセスの問題」であるにもかかわらず、新しいツールを次々と試す → 定着しない → また別のツールを試す、というサイクルが回っている。

B5. AI新規開拓ツールの実ユーザーレビュー

Coldreach.aiがG2(ソフトウェアレビューサイト)・Reddit・創業者コミュニティから100以上のAI新規開拓ツール(AI SDR)のレビューを分析した結果も参考になる(Coldreach自身が競合ツールであるためバイアスに留意が必要だが、ユーザーの生の声として)。

「$2,500/月払って、メッセージのコントロールも質の高いリードもない」— SaaS創業者

「導入は速い。でも2週間後に停止。返信ゼロ、なぜその相手を選んだのかも不透明」— B2B代理店の営業担当

「テスラを買ったのにハンドルを握れない感じ」— ユーザー

MarketBetter社(これもベンダーではあるが)は「2025年は完全自律型のAI新規開拓ツールが失敗した年」と総括し、勝ったのは「途中で人間がチェックを入れる方式」の陣営だったと分析している。


C. 現場で何が起きているか

マクロデータや営業特化の話を見た後で、実際に営業担当個人に何が起きているかを見ていく。この層のデータは最も少なかったが、個人ブログや事故事例をいくつか見つけることができた。

C1. 「考えなくなる」「画面を見る営業になる」「判断を委ねる」

bizreboot.net(40代営業職の個人ブログ)は、日本語圏では極めて稀な「営業×AI失敗の一人称体験記」だった。著者が報告した3つの落とし穴:

  1. 「考えなくなる」: 仮説を立てずにAIに直接正解を求める → 提案に一貫性がなくなる。借り物の言葉になり、自分で説明できない
  2. 「画面を見る営業になる」: データ上は問題なくても、顧客の声のトーンや「間」を読めなくなる
  3. 「AIに判断を委ねる」: 迷うたびにAIに聞く → 選択肢が増えて決められない営業になる

著者の結論は「AIは考える代わりではなく、考えた後に使う補助役」。

この体験記が示しているのは、AIツールが「使われなくなる」前の段階として、「使いすぎて営業力が劣化する」経路もあるということ。失敗は「使わない」だけでなく「誤った使い方」にも存在する。

C2. 「AIを入れたのに、仕事がむしろ増えた」

日経クロストレンド(2025年12月)は、AI導入後の現場から3つの声を直接引用している:

「AIを入れたのに、仕事がむしろ増えた」

「プロンプトをつくるのに時間がかかるし、結局使ってない」

「あれって結局、“賢い人のおもちゃ”でしょ?」

記事はこう指摘している: 「AIを入れることが目的になり、売上につなげる設計がない」「目標が曖昧なまま導入 → AIの出力は増えるが意思決定は変わらない → 徒労感」。

パーソルビジネスディベロップメント(人材大手パーソルグループの営業支援会社、以下パーソルBD)の社内検証レポート(12名の営業部隊で実証)でも同様の声があった:

  • 「既に定型化済みの業務にはAIを使うまでもない」
  • 「入力項目が多く、まとめる時間がかかる」
  • 「精度バランスが合わない」

「AI=効率化」と思い込んでいると、こういう声は見落としやすい。効率化どころか工数が増えるケースがある。

C3. 信頼事故: 「御社の課題をChatGPTで整理しました!」

東洋経済オンライン(横山信弘氏のコラム、2025年11月)が報じた事例:

若手営業が顧客情報をChatGPTに入力して資料を作成 → 客先で「うちの情報を勝手にAIに入力したのか?」と激怒 → 商談即打ち切り、信頼関係崩壊

便利さに目を奪われて、最も基本的なリスク(顧客データの取り扱い)を忘れてしまった事例。さきほどの流れでいう「最悪のシナリオ」にあたる。

セレブリックス(営業コンサルティング企業)の報告でも、中期経営計画の要約をAIに作らせたところハルシネーション(事実と異なる内容の生成)が含まれており、そのまま使いそうになって冷や汗をかいたという体験談がある。

C4. パーソルBDの検証から見えたこと

パーソルビジネスディベロップメントは12名の営業部隊で、19業務×60以上のプロンプトを使ったChatGPT活用実証を行っている。結果として「8割が効果を実感」と報告している一方で、以下の課題も正直に記載されていた:

  • 既に定型化済みの業務(テンプレート化された作業)にはAIを使う意味が薄い
  • 入力の手間と出力の品質のバランスが合わない場面がある
  • 効果を実感した業務は「壁打ち」「要約」「草稿作成」など、定型化しにくいタスクに集中していた

つまり「何にでも効く」のではなく、「効く業務と効かない業務がはっきり分かれる」ということ。自分の業務にAIが効くかどうかを考えるときの、大事な手がかりだと思う。


日本市場の定量データ

日本市場に限定した定量データは少ないが、BOXIL(SaaS比較プラットフォーム)の2つの調査がまとまった数字を出してくれている。

指標数値ソース
企業の公式AI導入率28.4%BOXIL生成AI調査(n=9,734)
シャドーAI(非公式個人利用)率14.4%BOXIL生成AI調査(n=9,734)
生成AI利用率全体42.8%BOXIL生成AI調査(n=9,734)
営業でのAI成果実感率66.9%BOXIL営業調査(n=389)
営業での質向上実感率59.9%BOXIL営業調査(n=389)
AI活用業務1位提案資料作成(40.0%)BOXIL営業調査(n=389)
使用ツール1位生成AI(ChatGPT等)62.7%BOXIL営業調査(n=389)
「しっかり使っている」営業職11%セレブリックスX調査
日本企業の生成AIツール業務利用率4.2%パーソルBD引用調査

注目すべきは「シャドーAI」の数字。BOXIL調査によれば14.4%が「会社は未導入だが個人・部署判断で非公式利用」している。MITが指摘する「shadow AI」(組織が把握していないAI利用)と同じ構造が日本でも確認されている。

また、セレブリックスのX調査(11%)とBOXIL(42.8%)の数字に大きな差があるのは、調査母集団の違いによる。BOXILの営業調査は「AIツールを利用している人」を含む母集団であり、セレブリックスは営業職全体を対象としている。「使っている人の中での成果実感」と「全体の中での実利用率」は別の指標として読む必要がある。


効いている人は何をしているか

失敗の話ばかりでは判断材料にならないので、「効いている側」のデータも整理した。複数のソースで共通して見えてきた5つの条件がある。

条件1: ワークフローに埋め込んでいる

Highspot CEO: 「AIが別タブなら使われない」。成功しているチームはCRM内蔵のAI機能を使うか、既存のワークフローにAIを組み込んでいる。わざわざ別のツールを開く動作を挟むと、忙しい日から使わなくなる。

NTTデータのPoC事例でも、PowerPointアドインを選定した理由として「定着化のハードルを下げる」ことが明示されていた。ツール選定の時点で「使い続けられるか」を設計している。

条件2: 小さく始めている

MIT NANDAの分析では、大企業がスケール化するのに平均9ヶ月かかるのに対し、中堅企業は90日でスケールできていた。

小さく始めて成果を確認し、横展開する。パーソルBDの「12名 × 19業務」という検証もこのパターンに該当する。全社一斉展開ではなく、限定的なチームで効果を確認してから広げている。

条件3: 「使い方を変える支援」をセットにしている

Salesforce Japanは「SFA/CRMへの正確なデータ入力がなければAIは宝の持ち腐れ」と述べ、業務変革の支援(チェンジマネジメント)なしの導入は失敗すると明言している。

しかしAI導入支援のStack AIの分析によれば、こうした業務変革支援に投資しているのは全体の1/3のみ。残り2/3は技術導入に偏っており、人的対応が不足している。

Persana AIの調査データでは「AI導入失敗の78%は技術ではなく人間側の問題」とされている。

条件4: データ品質を先に整えている

Mountain Advocate(Stackerデータ分析)が紹介した事例:

  • Sharp Business Systems: AI導入を一時停止し、データインフラ再構築に6ヶ月。再ローンチ後、営業チームの80%がAIを採用
  • Snowflake: データファーストのアプローチ。「AIツールが信頼されたのは、裏のデータが正確だったから」

Capital One / Forrester調査(n=500)でも、73%のデータリーダーが「データ品質と完全性」をAI成功の最大障壁として特定している。

条件5: 人間のチェックを仕組み化している

HubSpotのState of AI調査によれば、98%のユーザーがAI生成テキストに何らかの編集を加えている。つまり「AIの出力をそのまま使う」ことはほぼない。

McKinseyの調査では46%の組織が検証プロセスを整備できていない。SaaStrの「最初の90日間は毎日チェック」という知見と合わせると、人間チェックの仕組みがあるかないかが定着の分岐点になっている可能性が高い。

これらの条件を満たしたとき

ZoomInfo調査(1,002名)によれば、AIを適切に活用しているチームは:

  • 生産性が47%向上
  • 週12時間の時間節約
  • AIアシスタント機能(Copilot等)のユーザーは非利用者より60%多くデモを獲得

HubSpotのデータでは:

  • 64%が週1〜5時間の節約を報告
  • 78%がAIにより重要業務(顧客対話等)に時間を充てられるようになったと回答

「効く人にはかなり効いている」。問題は「効く条件を満たすまでのハードルが高い」ことにある。


この比較から見えたこと

62ソースを調べてみて見えてきたこと:

1. 「使われない」は単一の原因ではなく、3層の構造

マクロ(産業全体のパイロット失敗)、営業特化(ツール設計と訓練の問題)、現場(個人の行動変容)が重なり合って「使われない」が発生している。どれか1つを解決しても、他の2層が残っていれば改善しない。

2. この問題はAI固有ではない

横山氏が25年見てきた通り、SFA/CRMの時代から「導入したのに使われない」は繰り返されてきた。AIで変わったのは「期待の大きさ」と「失敗のスピード」であって、根っこは同じなのかもしれない。

3. 「効く人」と「効かない人」を分けているのは、ツールの性能ではない

5つの成功条件はすべて「ツール側」ではなく「組織・運用側」の話。データの品質、普段の業務への組み込み方、訓練への投資、業務変革の支援、人間チェックの仕組み。ツールを変えても、これらが整っていなければ同じ結果になる。


定量データまとめ

採用率・利用率

データ出典
営業職の56%がAIを毎日使用LinkedIn2025
43%がAI利用(前年24%から倍増)HubSpot2024
88%の組織が何らかのAI利用McKinsey2025
日本の企業公式AI導入率 28.4%BOXIL(n=9,734)2025
「しっかり使っている」営業職 11%セレブリックスX調査2023

生産性・成果

データ出典
AI利用者は47%の生産性向上ZoomInfo(n=1,002)2025
週12時間の節約ZoomInfo2025
営業でのAI成果実感率 66.9%BOXIL営業調査(n=389)2025
64%が週1〜5時間節約HubSpot2024
AIアシスタント機能ユーザーは60%多くデモ獲得ZoomInfo2025

失敗・課題

データ出典
生成AIパイロットの95%がROIゼロMIT NANDA2025
28%のみがAI投資で改善実感Highspot(n=463)2025
2/3がパイロット段階から移行できずMcKinsey2025
5.5%のみがEBIT貢献を報告McKinsey2025
30%の生成AIプロジェクトがPoC後中止Gartner2025
80%の非利用者が精度を懸念ZoomInfo2025
AI導入失敗の78%は人間側の問題Persana AI(WEF引用)2025
98%がAI生成テキストを編集HubSpot2024

注意点


調査カード

項目内容
調査日2026-02-22
調査ソース調査レポート 12件 / メディア記事 16件 / ベンダー記事 15件 / 実務家ブログ 6件 / 個人ブログ・体験記 5件 / ユーザーレビュー分析 2件 / 学術レポート 3件 / コンサルレポート 3件
ソースの言語英語 36件 / 日本語 26件
地域・前提US中心、B2B SaaS営業の情報が多め。日本市場はBOXIL調査とパーソルBD検証が主要ソース
情報の鮮度2024年〜2026年2月の公開情報が中心

ソース偏りチェック

  • ✓ 英語・日本語 各10件以上(36+26)
  • ✓ 成功と失敗の両面データあり
  • ✓ 個人体験記を含む(bizreboot、東洋経済事例、パーソルBD)
  • ✓ ブログ/個人サイト 30%以上(SaaStr、bizreboot、横山氏コラム等)
  • △ コミュニティ体験談は間接的(G2レビュー引用、ユーザー引用経由)

反対意見・異論

「95%失敗」に対して — AI企業SolaのCEO Jessica Wuは「AI以前のIT導入も成功率は10%程度。AIだけが特別に失敗しているわけではない」と指摘。Microsoftの最高人事責任者Amy Colemanも「実験の母数が大きいため成功率が低く見える」と分析している。95%という数字には、生成AIブームで実験が爆発的に増えた「分母の効果」も含まれている。

調べきれなかったこと

  • 業種別・企業規模別の「使われない率」の差異(報告がマクロデータに偏っている)
  • AIツール導入後の営業担当の離職率への影響(Highspotの80%バーンアウト報告の追跡データ)
  • 日本市場における「失敗の構造的分析」(BOXIL以外のn>100の調査が見つかっていない)

私の仮説(暫定)

今回調べてみて思ったのは、「使われない」の原因はAIそのものというより、営業チームの「新しいツールとの付き合い方」にあるんじゃないか、ということ。SFA/CRMの時代から25年間、同じことが繰り返されてきた。AIで変わったのは期待の大きさとスピードだけで、根っこは同じに見える。だとすれば「もっといいAIツールを探す」より「チームのツールの受け入れ方を変える」方が近道なのかもしれない。ただ、AIの進化は速いので、この見立ても半年後には古くなっているかもしれない。


出典

英語圏

日本語圏


免責

※ 個人の自由研究として調べてまとめています。特定のAIツールの推薦・非推薦を目的としたものではありません。 ※ 最終判断の前に、必ず一次情報をご確認ください。

AI活用について

この自由研究では、情報収集と整理の補助にAIを活用しています。 ただし、最終的な確認・記述・公開判断は人間が行っています。 重要な判断は、必ず一次情報で確認してください。