営業AI自由研究
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【定点観測】営業AI、現場で何が起きているか 2026Q1

2026-Q1
定点観測 AIエージェント メール・アウトリーチ 2026Q1

次回更新予定: 2026年Q3(または主要レポート公開後30日以内)

この記事は2026年2月時点の情報です。定点観測シリーズの第2弾として、初回ベースラインの10指標を確認しつつ、現場で何が起きているかを掘り下げます。

前回の定点観測で、営業AIの「スコアボード」を作った。採用率88%、成功率5%。この2つの数字の間にあるギャップが、2026年初頭の営業AIの実態だった。

今回は、スコアボードから目を離して、グラウンドに降りてみる。

このサイトで9本の調査記事を書く中で、560件超のソースに目を通した。数字の裏にどんな「現場」があるのか、だんだん見えてきた。今回の定点観測では、AIエージェント、AI営業メール、人間とAIの協業という3つの現場に焦点を当てる。

先に結論を言ってしまうと、3つの現場に共通する構造がある。「AIを増やすほど、効果が薄まっている」

この記事でやったこと

  • 初回ベースライン10指標を確認
  • 9本のレギュラー記事で集めた560件超のソースを横串で再分析
  • AIエージェント・AI営業メール・人間+AI協業の3領域に焦点
  • Salesforce State of Sales 2026(第7版)、Gartnerハイプサイクル最新動向など追加調査を実施

ベースラインの確認 — 10の指標は動いたか

前回設定した10の指標を振り返る。同じ四半期内の確認なので数字自体は大きく動いていないが、いくつかの指標は新しい文脈を得ている。

#指標前回の値今回備考
1組織レベルのAI採用率88%87%Salesforce第7版(n=4,050)で再確認
2営業担当者の日常利用率56%日本は毎日利用が4.5%(セレブリックス)
3成功率(本番で価値創出)5-6%BCG/McKinseyの数字が依然最新
4AI施策の中止率42%Gartner「AIエージェントの40%超が2027年末までに中止」を再確認
5ROI期待通りの割合25%IBM調査が依然最新
6AIで収益改善を実感28%Highspot
7セールステック市場規模$49.5B→$57.6BAIエージェント市場単体で$10.9B予測前年比45%成長
8日本の営業AI利用率26.5-32.4%ハンモック/ユーザベース
9日本のAI効果実感率66.9%BOXIL
10日本 vs 世界の利用格差51% vs 72%BCG

マクロの数字はほとんど動いていない。だが、この数字の「裏」ではかなりのことが起きている。


現場その1: AIエージェント — 「54%が導入」の中身

数字だけ見ると順調に見える

Salesforceの最新レポート(State of Sales第7版、2026年2月発行、n=4,050)はこう伝えている。

  • 54%の営業がすでにAIエージェントを使っている
  • 89%が2027年までに導入予定
  • 94%の営業リーダーが「エージェントなしでは業務需要に対応できない」と回答

市場も勢いがある。AIエージェント市場は2025年の76億ドルから2026年には109億ドルへ、前年比45%で伸びる見通しだ(Salesmate)。

ところが現場の声はだいぶ違う

SaaStrのコミュニティ調査を見ると、83%が「AI SDR(新規開拓)ツールは使い物にならない」と回答している。パイプラインを生み出せているのはわずか11%。

個別の事例を見ると、もっとはっきりする。

  • 11x(AI営業エージェント): 売上を約10億円と公表していたが、実際は約3億円だった。初期顧客の70-80%が離脱(TechCrunch 2025年)
  • Artisan Ava(AIメール営業): 複数ユーザーが「1,000通以上送って返信ゼロ」と報告。LinkedInからは一時BANされた
  • Klarna: カスタマーサービスの700人をAIで置き換えたが、品質が下がり、人間を再雇用する羽目に
  • CBA(オーストラリア): 45人をAIに置き換え、「電話が週2,000件減った」と発表したものの、実際には電話は増えていた。結局45人全員に復職を申し出た

AIエージェントの解約率は50-70%。人間の営業担当の離職率の2倍だ(Common Room / TechCrunch)。

営業AIエージェント、「自動で売れる」の期待と現実で詳しくまとめたが、Gartnerの言葉を借りれば「まだ超超初期段階(super super early stage)」。数千のAIエージェントベンダーのうち”本物”は約130社とのことだ。

Salesforce自身の実績が語ること

興味深いのは、Salesforce自身がAIエージェント(Agentforce)の実績を数字で出していること。13万件のリードにコンタクトし、4ヶ月で3,200件の商談を創出したという。

コンタクトから商談への変換率は約2.5%。高い数字ではない。だが、人間のSDRがこの規模を4ヶ月でさばくのは現実的に難しい。「質は低いが量でカバーする」やり方だ。

ただし、この「量でカバー」が市場全体にどんな影響を与えているかは、次の「メール」の現場で見えてくる。

なお、Agentforceの有料利用者は15万社超の顧客のうち約3,000社。一桁パーセント台にとどまる(Salesforce Ben)。

効いている条件はかなり厳しい

SaaStrの成功事例がわかりやすい。20のAIエージェントを8ヶ月間運用し、480万ドルのパイプライン、240万ドルの成約を達成した。ただし条件がある。

  • 連絡先データの90%は自社データベースから。外部のスクレイピングではない
  • 週15-20時間の管理を投入(1.2人が専任)
  • 8ヶ月の試行錯誤を経て、ようやく安定稼働

「AIを置いたら自動で売ってくれる」のではなく、「人間が丁寧に管理すると、少人数で大きな成果が出る」。手放しの自動化とは程遠い。前回の定点観測で引用した「効く条件」——自社データの質、ワークフローの再設計、リーダーの関与——がそのまま当てはまる。


現場その2: AI営業メール — 送ったメールはどこへ消えたか

返信率が7年で半分以下に落ちた

AI営業メール、送った先で何が起きているかで追跡したデータを、定点観測の視点で並べ直す。

時期コールドメール返信率出典
2019年8.5%Backlinko(1,200万通)
2023年7.0%各種
2024年5.1%Martal Group
2026年(平均)3.43%Instantly(数十億通)
2026年(上位25%)5.5%超Instantly
2026年(トップ層)10.7%超Instantly

AIで営業メールを大量に送れるようになった時期と、返信率の下落がきれいに重なっている。

受け取る側でも、AIが動いている

メールを送る側がAIを使い始めた。すると、受け取る側もAIで防御し始めた。

Gmailは現在、6段階のフィルタを重ねてメールをふるいにかけている。サーバーの時点で拒否 → AIでスパム判定 → タブに振り分け → 受信トレイ内で優先度を下げる → AIが要約 → AIが「アーカイブしますか?」と提案。1日150億通の迷惑メールを処理しているという(Google)。

その結果、いくつかの数字が崩壊している。

  • スパムの51%がAI生成(コロンビア大/シカゴ大共同研究、2025年4月時点)
  • 「開封された」と表示される数字の73%はAppleのボット。人間が開いたわけではない(Validity)
  • 受信トレイ内のメールのうち最大40%がGmail AIに優先度を下げられている(Folderly)
  • 6.4%のメールが完全に消えている。バウンス(不達通知)もなく、スパムフォルダにも入らず、どこにも届かない(MailSoar)

全自動AIメール vs 人間が書いたメール

ここで面白いデータがある。AIが全自動で書いて送ったメールの返信率は、人間が手作業でターゲティングしたメールの13分の1だった(Rui Nunes)。

一方、高度にパーソナライズしたメールは18%の返信率を維持している(Martal Group)。

つまり、メールの世界で起きているのは「AIを使うほど効果が落ちる」ではなく、「AIに任せきりにすると激減するが、AIをうまく使う人はむしろ成果を出している」。ただし、この「うまく使う」には3-6ヶ月の試行錯誤が必要だった(AI経営研究所)。

1件の商談に必要な接触回数は3.6倍に

数年前まで、1件の商談をつかむのに必要な接触は5-7回だった。いまは18回(Martal Group / Sales So)。3.6倍に膨れている。

AI営業メールの量が増えた → 受信側のフィルタが強化された → メールが通りにくくなった → もっと量を送った → さらにフィルタが強化された。

送るAIと受けるAIがお互いを打ち消し合う構造。前回の定点観測で注目ポイントに挙げた「バイヤーAIの出現」が、メールの世界ではすでに進行中だ。


現場その3: 人間+AI — 使うと成果が落ちる?

106の研究を横断的に分析した結果

人間+AI=パフォーマンス低下? 106研究が示す不都合な真実で取り上げた内容を、定点観測の文脈でまとめ直す。

2024年、Nature Human Behaviourに掲載されたメタ分析(Vaccaro, Almaatouq, Malone)は、106の実験・370の効果量を横断的に分析した。結論はこうだ。

  • 人間+AIの組み合わせは、人間だけ・AIだけのうち「良い方」と比べて、はっきり劣っていた(効果量 g=-0.23、偶然では説明できないレベル)
  • 特に判断を伴う仕事で差が大きかった(g=-0.27)
  • 改善策として試された方法(説明可能なAIにする、AIの確信度を表示する、専門家と非専門家を分ける)は、どれも効果がなかった

「人間がAIを監督すれば安心」という前提自体が、データでは支持されていない。

足を引っ張り合うメカニズム

なぜこうなるのか。いくつかの研究が理由を示している。

AIの方がうまいとき、人間が邪魔になる。 バージニア大学の研究では、AIだけの医療診断精度は92%だったが、人間+AIでは76%に落ちた。人間が「でもこっちじゃないか」と判断を差し挟んだ結果、全体の精度が下がった。

人間の方がうまいとき、AIに引きずられる。 BCGコンサルタント758人の実験(Harvard/BCG 2023)では、AIの得意な範囲では+40%の品質向上があったが、AIの苦手な範囲では正答率が19ポイント低下した。思考の多様性も41%減少。AIの「もっともらしい答え」に引き寄せられてしまう。

遅くなっているのに、速くなったと感じる。 METR(2025年)の実験では、経験豊富な開発者がAIツールを使ったところ19%遅くなった。ところが本人たちは「24%速くなるはず」と予想し、使った後も「20%速くなった」と報告した。実感と実態が39ポイントずれている

この「速くなった気がするが実は遅い」現象は、営業にもそのまま当てはまる。AIでメールを大量に書ける → 効率が上がった感覚 → しかし返信率は半減。AIで提案書が速く作れる → 仕事が進んだ感覚 → でも修正地獄で実質工数は変わらない。

脳への影響: 低下して、戻らない

MIT Media Labの4ヶ月間の研究(2025年、EEG脳波測定、54名)は、ChatGPTを日常的に使った人の脳の神経接続が最大55%低下したことを報告している。

さらに気になるのは、AIをやめても回復しなかったこと。一度できた「AIに任せる習慣」は、脳の回路レベルで定着してしまう。

ただし、「まず自分で考えてからAIを使った」グループは逆に脳活動が増えていた。順序が大事ということだ。Anthropicの2026年の研究でも「答えをもらう使い方」と「考え方を教わる使い方」で効果が逆転することが確認されている。

「ワークスロップ」という新しいゴミ

AIが生成した中身のない仕事を指す造語が広まっている。「ワークスロップ(Workslop)」だ(HBR / Stanford、Hancock 2025年)。

  • 社員の40%が「先月ワークスロップに遭遇した」
  • 職場のコンテンツの推定15.4%がワークスロップ
  • 1件のワークスロップを処理するのに平均1時間56分
  • 1万人規模の企業では年間900万ドル超の損失
  • ワークスロップを送ってきた人への印象: 「創造性がない」50%、「信用できない」42%、「もう一緒に仕事したくない」32%

提案書AIの修正地獄で紹介した「AIが作った80点の提案書を直すのに結局2時間かかる」という話は、このワークスロップの営業版と言える。


3つの現場に共通する構造

3つの現場を並べてみると、同じパターンが浮かぶ。

現場「量」の指標「質」の指標まとめ
AIエージェント54%が導入83%が「動いていない」量↑ 質↓
AI営業メール送信量63%増返信率8.5%→3.43%量↑ 質↓
人間+AI協業利用率88%成果を出している企業5%量↑ 質↓

3つとも、増やすほど効果が薄まっている

偶然ではないと思う。AIは「量の最適化」が得意だ。メールを大量に書く、リードに大量に連絡する、提案書を大量に作る。しかし営業の成果は、つまるところ「この人に頼もう」という信頼で決まる。そして信頼は量では作れない。

前回の定点観測で引用したGartnerの予測——「2030年までにB2Bバイヤーの75%が人間との対話を重視する営業を選ぶ」——は、この構造を踏まえると、控えめな予測にすら見える。

効率化したら、なぜか仕事が増えた

HBRに掲載された8ヶ月間の現場調査(テック企業、従業員約200名、ランガナサン 2026年)によると、AIを導入した結果83%が「仕事量が増えた」と回答した。12時間労働が当たり前になったという。

19世紀の経済学者ジェボンズが指摘したパラドックスが、そっくり再現されている。石炭を効率的に使えるようになったら、石炭の消費量が減るどころか増えた。同じことが起きている。

  • 議事録を自動で作れるようになった → 会議が増えた(議事録AIの落とし穴
  • メールを速く書けるようになった → 送信量が増え、受信者はもっと埋もれた
  • 提案書を速く作れるようになった → 修正のやり取りが増えた(提案書AIの修正地獄

前回の定点観測で「2026年の注目ポイント」に挙げた「疲れ」の顕在化は、このメカニズムで説明がつく。KPMGが「認知疲労の時代」と呼んだ現象の正体は、効率化がもたらした仕事量の膨張だ。


日本の現在地

「期待を超えた」が13%しかいない

PwCの5カ国比較調査(n=2,642)を改めて見る。生成AIの効果が「期待を超えた」と答えた割合だ。

期待超え
米国51%
英国50%
ドイツ28%
中国24%
日本13%

日本だけが極端に低い。米国の4分の1だ。

ただし「期待以下」と答えた割合も約25%にとどまり、残りは「期待通り」。つまり日本は「期待値が低い → その低い期待をちょうど満たしている」状態にある可能性がある。

毎日使っている営業は20人に1人

セレブリックスの調査(n=1,019)によると、AIを毎日営業に使っている人は4.5%。74.7%は「ほとんど使っていない、またはまったく使っていない」。

面白い対比がある。セレブリックス自身は400人の営業組織で80%がAIを毎日使っているという(AdverTimes 2025年)。同じ会社でも、調査対象(市場全体)と自社でこれだけ差がある。「組織が本気で環境を整えれば使う人は増える」ということだろう。前回の定点観測で指摘したトレーニング格差(日本12%、世界平均36%)がそのまま利用率に表れている。

「遅れ」は悪いことばかりではないかもしれない

暫定的な仮説だが、日本のAI導入が遅いことには、結果的にプラスの面もあるかもしれない。

106研究のメタ分析が示した「人間+AI=パフォーマンス低下」は、AI依存度が高いほど問題が大きくなる構造だ。米国の営業が直面している「返信率の崩壊」「AI同士の打ち消し合い」「ワークスロップの蔓延」は、AI活用が先行しているからこそ起きている。

日本は、これらの失敗事例を見てから自分たちのやり方を決められる立場にある。新人営業の最初の3ヶ月で紹介した「まず自分でやってからAIを使う」アプローチは、MIT Media Labの脳の研究でも良い結果が出ており、日本の「まず基本を身につける」教育文化と相性がいい。

ただし、「待っていればいい」という話ではない。何もしなければ単なる遅れだ。海外の失敗を踏まえて「どう使うか」を設計すること。そこに、遅れを利点に変える余地がある。


新たに追跡する指標

前回の10指標に加えて、今回の調査で追跡すべき新しい指標が見えてきた。

#指標現在の値出典なぜ追跡するか
11コールドメール返信率3.43%(平均)Instantly 2026AI営業メールの効果がどこまで下がるか
12AIエージェント解約率50-70%Common RoomAIエージェントの実用性を測る先行指標
13買い手のAI利用率94%がLLM使用6sense 2025AI vs AI がどこまで進むか
14日本の営業AI毎日利用率4.5%セレブリックス 2025「何らかの利用」より厳しく実態を測る

2026年の注目ポイント(更新)

前回挙げた4つの注目ポイントの進捗を確認し、新たに2つ追加する。

前回からの進捗

ポイント前回の予測今回の確認
AIエージェントのハイプサイクルピーク期ピーク期のまま。Gartner「まだ超超初期段階」。ただし生成AI全体は幻滅の谷へ移行中
バイヤーAIの出現5社に1社がAI購買エージェントと交渉買い手の94%がLLMで情報収集(6sense)。メールではGmail AIの6層防御が稼働中
予算引き締めAI投資の25%を2027年に繰り延べAI全体の投資額は2.52兆ドル(前年比44%増、Gartner)。ただしCEOの70%超がROIに不満のまま
「疲れ」の顕在化AI頻用者のバーンアウト率45%83%が「仕事量が増えた」(HBR 2026年)。効率化→仕事量増加のメカニズムが見えてきた

新たな注目ポイント

5. 「SaaSpocalypse」とAIの価格モデル

2026年2月、SaaS企業の株価が急落した。AIエージェントが人間のユーザーを代替し始め、「1人いくら」の課金モデルが揺らいでいる。Salesforceは「1会話2ドル」の従量課金に移行しようとしたが混乱が生じ、値付けを見直し中だ。営業AIの世界でも、ツールの「使用料」ではなく「成果」に連動した価格への移行が始まるかもしれない。

6. 「量 vs 信頼」の構造的矛盾

今回の3つの現場が共通して示しているのは、AIで「量」を増やすほど「信頼」が損なわれる構造だ。この矛盾を解く方法が見つかるのか——それとも矛盾のまま突き進むのか。次回の観測で特に追跡する。


次回の観測予定

項目内容
時期2026年Q3(7-9月目安)
トリガーLinkedIn State of Sales / HubSpot State of AI の更新公開後30日以内
差分閾値主要指標が10pt以上変動した場合は臨時更新
特に追跡する指標(1) コールドメール返信率(3.43%からさらに下がるか)、(2) AIエージェント解約率の推移、(3) 生成AIのハイプサイクル位置(幻滅の谷への移行速度)、(4) 日本の毎日利用率(4.5%からの変化)、(5) SaaS価格モデルの変化、(6) 「量 vs 信頼」の解決策の出現

注意点

この記事は初回ベースラインの追跡レポートです。マクロの数字は前回を、各現場の詳細は以下のレギュラー記事を参照してください。


調査カード

項目内容
調査日2026-02-23
調査ソース9本のレギュラー記事(累計560件超のソース)の横串分析 + 追加ウェブ調査
ソースの言語英語 370件超 / 日本語 150件超
地域・前提グローバル調査が中心。日本データはセレブリックス、PwC Japan、BCG Japan等
情報の鮮度2024年7月〜2026年2月の公開情報が中心

ソース偏りチェック

  • ✓ 英語・日本語 各10件以上(英語370超、日本語150超)
  • ✓ 成功と失敗の両面データあり(SaaStr成功事例 + 11x/Artisan/Klarna等の失敗事例)
  • ✓ 複数の独立した調査機関が同じ方向を示している
  • △ 個人ブログ・体験記は各レギュラー記事に含まれるが、本記事では間接参照
  • △ Reddit直接検索は未実施(全記事共通の課題)

反対意見・異論

「現時点の失敗を過大評価している」という反論には一定の根拠がある。技術の初期段階では失敗率が高いのは当然で、AI投資のROI回収には2-4年かかる(Deloitte)。6ヶ月で「失敗」と判定するのは時期尚早かもしれない。

Salesforceの数字(AIを使う営業はノルマ達成率3.7倍、AIエージェントを使う企業は1.7倍好調)は、「効いている組織では大きく効いている」ことを示している。問題は、効いている組織がまだ少数派であること。

調べきれなかったこと

  • Reddit営業コミュニティ(r/sales等)の現場の声。ウェブ検索経由では取得困難
  • 日本のAI施策「中止率」に対応するデータ(S&P Global 42%の日本版が見つからない)
  • AIエージェントの解約後に何に切り替えたか(人間に戻したのか、別ツールにしたのか)のデータ
  • 中小企業のAI活用実態(大企業中心の調査が多い)

私の仮説(暫定)

前回の仮説「採用率と成功率のギャップは2026年中に急速に縮まることはない」は、今回の調査でむしろ強化されたと考えている。

理由は、ギャップの原因がツールの問題ではなく構造の問題だとわかってきたからだ。「送るAIと受けるAIの打ち消し合い」「人間+AIの逆説的なパフォーマンス低下」「効率化がもたらす仕事量の膨張」——これらはツールを改善しても解決しない。営業のやり方そのものを変えない限り、AIを増やしても効果は薄まり続ける。

唯一の希望は、SaaStrの事例のように「少人数 + 自社データ + 地道なPDCA」で成果を出している組織が存在すること。「AIを魔法の杖として使う」のではなく「AIを道具として丁寧に使う」方向に、市場全体がシフトするかどうか。次回の観測ではこの点を追跡する。


出典

英語ソース

  1. Salesforce「State of Sales, 7th Edition」(2026年2月、n=4,050、22カ国)
  2. McKinsey & Company「The State of AI」(2025年3月 / 11月更新、n=1,993)
  3. BCG「The Widening AI Value Gap」(2025年、n=1,250社超)
  4. Gartner「Hype Cycle for Artificial Intelligence 2025」(2025年)
  5. Gartner「Predicts: Over 40% of AI Agent Projects Canceled by 2027」(2025年6月)
  6. Futurum Group「AI Agents Take Center Stage」(2026年、n=830)
  7. NBER「CEO Study on AI and Productivity」(2026年2月、n=~6,000)
  8. IBM Institute for Business Value「C-Suite Study」(2025年、n=2,000 CEO)
  9. Highspot「New Study Finds AI is Failing Sales Teams」(2025年9月、n=463)
  10. Deloitte「AI ROI: The Paradox of Rising Investment and Elusive Returns」(2025年、n=1,854)
  11. Deloitte「Technology Trends 2026」
  12. SaaStr / Jason Lemkin「20 AI Agents, 8 Months: $4.8M Pipeline Results」(2025年)
  13. Salesforce Ben「Agentforce Adoption Data」(2026年)
  14. TechCrunch「11x ARR Discrepancy and Customer Churn」(2025年)
  15. Common Room / TechCrunch「AI SDR Churn Rate Analysis」
  16. Vaccaro, Almaatouq, Malone「When combinations of humans and AI are useful」Nature Human Behaviour(2024年、106実験、370効果量)
  17. METR「Measuring the Impact of AI Coding Tools on Developer Productivity」(2025年、n=246タスク)
  18. MIT Media Lab「ChatGPT Brain Study」CHI 2025(n=54、4ヶ月、EEG測定)
  19. Hancock et al.「Workslop」HBR / Stanford(2025年)
  20. Ranganathan & Ye「AI and Work Intensification」HBR(2026年)
  21. Dell’Acqua, Mollick et al.「Navigating the Jagged Technological Frontier」Harvard / BCG(2023年、n=758)
  22. Backlinko「Cold Email Statistics」(1,200万通分析)
  23. Instantly「Cold Email Benchmarks 2026」(数十億通分析)
  24. Martal Group「Cold Email Statistics 2024-2025」
  25. Columbia University / University of Chicago「AI-Generated Spam Analysis」(2025年4月)
  26. Validity「Apple MPP and Open Rate Data」
  27. Folderly「Gmail AI Priority Downgrade Analysis」
  28. MailSoar「Email Deliverability: The Vanishing 6.4%」
  29. 6sense「Buyer Experience Report 2025」(n=~4,766)
  30. Schilke & Reimann「AI Disclosure and Trust」OBHDP(2025年、13実験、n=3,000超)
  31. Metrigy「Customer Experience 2026」(n=503)
  32. KPMG「Q3 2025 Pulse Survey」(n=130 C-suite)
  33. Salesmate「AI Agent Market Statistics 2026」
  34. Rui Nunes「AI-Personalized vs Manually-Targeted Email Performance」
  35. Anthropic「Answers vs Understanding」(2026年)
  36. Gerlich「Cognitive Offloading and Critical Thinking」(2025年、n=666)
  37. Microsoft Research / CMU「AI Trust and Critical Thinking」(2025年、n=319)

日本語ソース

  1. セレブリックス「営業AI利用実態調査」(2025年、n=1,019)
  2. セレブリックス × AdverTimes「AI営業組織の実践」(2025年)
  3. PwC Japan「生成AIに関する実態調査 2025春 5カ国比較」(n=2,642)
  4. BCG Japan「日本の業務上のAI活用率は51%、世界に大幅後れ」(2025年)
  5. ハンモック「生成AIの営業活用に関する実態調査」(2025年7月、n=1,000)
  6. スマートキャンプ(BOXIL)「営業のAI活用事例アンケート調査」(2025年12月、n=389)
  7. ユーザベース × マクロミル「営業AI白書2025」(2025年6月、n=618)
  8. NRI「IT活用実態調査 2025」(2025年11月、n=517社)
  9. AI経営研究所「AI営業メール改善事例」(2025年)

この記事は個人の自由研究です。特定のAIツール・サービスの推奨・非推奨を目的としたものではありません。記載のデータは各出典の調査時点のものであり、最新の状況とは異なる場合があります。

記事の調査・構成にAI(Claude)を活用しています。最終的な判断・編集・構成は人間が行っています。